愛知工科大学 工学部

STELAがARLISSに初参加

STELA(宇宙技術研究部)がARLISSに初参加

AUT STELA(宇宙技術研究部)は、UNISEC主催の「UNITEC-1」の打ちあげの参画に続き、2011年9月、アメリカネバダ州のブラックロック砂漠にて行われた、超小型人工衛星CanSatのサブオービタル(大気圏内) 打ちあげ実証実験「ARLISS(A Rocket Launch for International Student Satellites)」に初参加しました。ARLISSは、日米大学合同でのローバ実走コンペティションを開催しており、今回、STELA(宇宙技術研究部)では、戦車や重機で馴染みのある「キャタピラ式」ローバで挑戦しました。ARLISSへの参加は東海圏でAUTのみであり、日本における宇宙開発の裾野を広げる大きな一歩になると思います。今回はこのSTELA(宇宙技術研究部)の新たな挑戦を紹介したいと思います。

宇宙「バカ」の挑戦

実はARLISS(A Rocket Launch for International Student Satellites)」への参加は、サークルのメンバーの強い想いで成り立ちました。一般的には、業界で著名な大学しか参加をしていないこの実証実験を、メンバーが知ることができたのはおよそ3年前。サークルの長である教授が赴任してきてから。前任校にて教授が参加していたARLISSの存在を知り、本チームの前身である「STELA(宇宙技術研究)」という大学内サークルが参加。しかし、AUTでは初の試みのため準備は困難を極め、昨年度はおしくも間に合わず参加を断念しました。足掛け2年、今回のプロジェクトリーダー飯島さんは再度「是非参加してみたい」と教授に願いでます。メンバーも新たに、今年こそはとサークルで4名の参加チームが編成され、昨年度の雪辱を晴らすべく、徹夜も惜しまず、研究室に篭る「戦いの日々」がはじまったのです。


A reckless challenge? No! It is different.無謀な挑戦?それは違う。

キャタピラ型ローバー

落下の衝撃で蓋が開く

落下からローバーが発信するまでのしくみ

今回、コンペティションであるにも関わらず、STELA(宇宙技術研究部)が開発したローバは、ARLISSにおいて最も有用とされている「二輪型ローバ」ではなく、月面探査において表面の砂の性質上有用とされている「キャタピラ型ローバ」でチャレンジするという、一見無謀にも思える試みでした。なぜ「キャタピラ型ローバ」なのか。それはチーム全員が初参加にして「みんなと同じことをしていてもおもしろくない。だれもつくったことのないローバで参加しよう」という想いからなのです。開発前、それを聞いた教授も「やってみよう」と快諾。さまざまな試行錯誤の末、今回の「キャタピラ型ローバ」が開発されたのです。

キャタピラ型ローバー
質量
〔g〕
1040
サイズ
〔mm〕
システム全体
130×130×230
(折畳パラシュート含む)
キャリア
収納

About a ARLISSARLISSについて

ARLISS(A Rocket Launch for International Student Satellites)」は、アメリカネバダ州のブラックロック砂漠にて行われた、超小型人工衛星CanSatのサブオービタル(大気圏内)打ちあげ実証実験。この実験はUNISECがアマチュアロケットグループ「エアロパック」の協力のもとで、日米の大学が製作した衛星の打ちあげを行います。
また、ロケットから放出された小さな衛星やローバが、目的地に自律的に降りる/走ることを 競うカムバックコンペティションも開催しています。

STELA(宇宙技術研究部)は、このカムバックコンペティションに参加しました。

UNISEC・・・大学宇宙工学コンソーシアム(University Space Engineering Consortium, UNISEC)

About a Rover「ローバ」ってどんなもの?

写真:ARLISSで一般的な2輪タイプのローバ

写真:ARLISSで一般的な2輪タイプのローバ

ローバ(Rover)とは、宇宙探査を行う際に使われる、自分で考えて走行する自律型無人探査機のことです。
今まで、ローバは月や火星に送られ、人では探査できない場所での画像撮影や鉱石採取などのさまざまな活動を行ってきました。また、地球外での活動をリモート操作で行うため、想像を超えるさまざまな環境に耐えうるための研究が、各専門機関や大学などで行われています。


The battle with the oneself selected distress自ら選んだ苦難との戦い

「キャタピラ式ローバ」という選択は、メンバーに大きな困難を与えました。ARLISSにおいて最も有用とされているローバの形状は「二輪型ローバ」と言われており、参加校もこの「二輪式」での参加が多いのですが、問題点として、高さのあるクレバスのような場所からの復帰は非常に難しくなります。また、ARLISS が行われる場所は砂漠のど真ん中であり、「キャタピラ式」という選択肢に新たな可能性を見いだそうとしました。
しかし、この「キャタピラ式」という選択がメンバーに大きな負担をもたらします。一般的ではないということは、本体の機構・耐久性・キャタピラなどの部材の調達など、どれをとっても未知数で、一筋縄ではいかない作業でした。

また、日本での落下実験は、打ちあげの高さが45mまでという制限があり、今回のARLISSの実験である4,000mからの落下というのは、メンバーにとっては想像しがたい実験です。それでも何度も落下実験を行い、何度も試作品を壊してしまうたびに不安と焦りを感じていました。そんな中、なんとか形になっていく「ローバ」。何度も失敗を重ね、本番が近づくにつれチームにはある不思議な感情が生まれます。「このチームなら怖くない」と。

The result of being as satisfactory as reliance信頼と満足という結果

開発終盤、メンバーはお互いを信じて作業を続けました。それぞれの得意分野、担当作業にベストを尽くす事、それだけを考えていました。「失うものは何も無い」「当たって砕けろ」そんな気持ちで前に進んでいました。教授もその姿を見ながら、時に励まし、時に厳しい指摘をし、全てが一つとなり本番に望むことになりました。

結果はキャタピラ型ローバで挑んだSTELA(宇宙技術研究部)は9位。優勝は二輪型ローバに奪われましたが、初参加にして初の試み、そして手に入れた信頼と満足。チームのメンバーは大きく成長したと言ってよいでしょう。宇宙開発という発展途上の研究分野で、またひとつ新しい風が吹きました。


Foot of the spreading "space development"広がる「宇宙開発」の裾野

今回のSTELA(宇宙技術研究部)の「ARLISS参加」は、決して単なる学生の思い出話では終わりません。それは日本が世界へその類まれな技術を世に知らしめる大きな一歩となるからです。なぜなら、一昔前までは一部の研究者のみで行っていた「宇宙開発」というまだまだ、未知の技術や、新しい発見があるこの分野を、一般の学生からボトムアップし、広げていくことができることの証明だからです。
そして、一見、無謀とも思える挑戦を、臆すること無くやり遂げました。いつか、新たな可能性を見出すことができる、「寛容的な環境」を創りだす日本という国のシステム、そして、AUTのSTELA(宇宙技術研究部)のようなチャレンジが、学生の皆さんに新たな活躍のフィールドを提供できると確信しています。

InterviewARLISS終了後の学生インタビュー

大学院工学研究科
開発チームリーダー
飯島 健介さん

ローバの機体の構造を担当

電子制御・ロボット工学科
小田 基貴さん

主にプログラムと制御データの解析を担当、当日の撮影や動画の編集も行う。


結果は・・・残念でしたね

飯島さん:でも、得られたものも大きいです。私達は初参加でしたので、他の大学のように経験値が全く無かったなかで、どう成功に導くかの考え方というか、プロセスみたいなものを実感できましたし、今後の研究にも大いに活かせると思います。また、次に参加する後輩たちへ、この経験を繋げていくことができるという満足感もありますね。次は絶対成功させて欲しいです。


先生ってアツイ方ですよね?

小田さん:僕たちが負けちゃいそうになるくらいすごくパワフルです!しかもお茶目なところもあって。自分が食べたいからって、研究室によくお菓子を持ってきてくれて、お菓子の山ができていたり(笑)

飯島さん:少し天然なところもある、おもしろい先生でもあります(笑)。それに、すごい柔軟な考えを持っている方だなと思っています。
でも信頼されているっていう実感もあってすごく嬉しかったのを覚えています。何よりも信頼できる先生です。

ARLISSが終わってみてどうでしたか?

飯島さん:苦しい状況もありましたが、とりあえず楽しかったです。当日は打ちあげ用のロケットの発射ボタンをチームみんなで押し、打ちあげたときは、「すごいことをしてるんだな」って感動しました。

小田さん:でも、当日まではみんなで研究室に泊まりこんでの作業でしたし、中途半端な状況を見せたら、先生の雷が落ちるし、正直つらいこともありました。
私はプログラム担当だったんですけど、どんなにつらい状況の中でも、ローバが初めて動いた時はチーム全員がすごく感動しましたし、これが打ちあげられるのかってすごく興奮したのが記憶に残ってますね。

飯島さん:実際は日本で事前に実験できることも少なくて(日本では4,000mもの高さまで打ちあげは禁止されているため)、現地で試行錯誤することも多かったんですが、逆にそれがすごく良い経験になりました。
まだまだ、発展途上の研究分野ですから、これくらいの困難なんて、当たり前なんでしょうけど(笑)


みなさんは、宇宙開発の研究をするためにAUTへ入学してきたのですか?

飯島さん:漠然とは思っていたのですが、実際、できるとは思っていませんでした。
高校時代の成績も優秀とはいいがたかった状況でした。
でもAUTに入学して、勉強していくるうちに、「やっぱりやってみたいな」と思うようになりました。その矢先、先生が赴任してきて、何度か話をしているなかで、「うちのサークルに入らないか?」と先生から誘っていただきました。タイミングが良かったというのか何なのか、とにかくすごく貴重な経験をさせてもらっています!

小田さん:先生が僕達によく言われるんですが、「学歴なんて関係ない。みんな同じ人間なのだから努力すればだれだって同じことができるはずだ」って。だからこのサークルにはチャンスがすごくたくさんあるんです。


なんかうらやましい関係ですね

飯島さん:本当に感謝してるんです。先生がいなければ、こうやって宇宙開発の一端を担うこともARLISSに参加することもできなかったので。

小田さん:先生も、仲間も僕にとってはすごくいい出会いでした。棒も飯島さんと同様、大学で宇宙開発なんてやれるとは思ってなかったのですが、宇宙という発展途上の研究を開拓しているという喜びと、みんなで、辛かったけど目標に向かって先生や仲間と一丸となって取り組むことができ、すごくいい経験になりました。


最後にこれからの宇宙開発について、みなさんが思うことを教えてください。

小田さん:宇宙開発は、まだまだ私達でもやれることが多い研究分野だと思います。だから、「今」の常識にとらわれること無く、どんどん新しいことをやってみたいと思います。このサークルは、ヤル気があれば、それが可能です。ARLISSについても次の大会では、僕らの経験を活かして、後輩のみんなに頑張って欲しいです!

飯島さん:私は卒業してもどんな形であれ宇宙開発の研究に携わっていきたいと考えています。それだけ魅力的な研究です。今はAUT のSTELA(宇宙技術研究部)のようにいろんな事に挑戦できる環境がありますので、臆すること無く飛び込んできて欲しいと思っています。

TOPICS

寛容性と多様性

STELA(宇宙技術研究部)の特徴として、学生に対する「寛容性」と環境の「多様性」があげられる。宇宙開発という最先端の研究内容にも関わらず、多様な意見と要望を受け入れており、UNISECでのUNITEC-1参加や、今回のARLISS参加など、積極的な活動を展開している。ただし、教授は「徹夜もいとまない強いモチベーションが無ければ、良い研究はできない」とも語る。研究に関する責任感を持たせ、よりよい結果を産ませるための要因、それはものづくりや研究に関する情熱そのものなのかもしれない。

クリエイティブ・クラス

「寛容性」といえば、リチャード・フロリダ博士が提唱する「クリエイティブ・クラス」という考え方がある。地域や企業が発展するためにはこの「クリエイティブ・クラス」という人材が増えていくことが重要であり、「クリエイティブ・クラス」が集まり育つためには「才能」「技術」そして「寛容性」が重要であると博士は語る。ただし、日本ではこの「寛容性」という考えは浸透しづらいといわれている。だが、STELA(宇宙技術研究部)は「寛容性」が多くあり、これを証明しているかのように創造的な人材が育っている。今後の人材育成に大きく期待して止まない。

日本の宇宙開発の今後

日本は、宇宙開発の研究の裾野が非常に広い国であるといえる。一昔前は、「宇宙開発」といえば、一部の研究機関のための分野といっても過言ではなかったが、各大学が研究を進め、非常に費用対効果の高い結果が生まれている。今回のように学生自身が自由に研究対象を決め、既存の技術に単純に迎合するのではなく、「新しい何か」を求め没頭できることは、まだまだ未開拓部分が多いこの「宇宙開発」という分野において、日本は非常に明るい未来に向かっているのかもしれない。



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