私たちの研究がさらなる宇宙開発の礎を築く。
- 宇宙空間の温度は何度でしょうか?
-
- 0℃
- -120℃
- -270℃
答えは、(3)-270℃と一般的にいわれています。
私達は宇宙全体が同じ波長の電磁波で満たされていることを観測で知っています。この電磁波の波長は-270℃の黒色の物体がだす波長と同じであり、宇宙がビッグバンからはじまったことを示す証拠の一つになっています。
ところで、衛星が地球に帰還する際には、衛星の外表面は超高温になります。
私達、奥山研究室では、このような過酷な環境である『宇宙』をテーマとして、主に小型深宇宙探査機や宇宙往還機など『宇宙開発』の研究を行っています。
超小型の宇宙探査機「UNITEC-1」の開発プロジェクトに参加
AUTは、「大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC) ※1」という研究チームに参加し、「深宇宙※2」へ飛行させる『超小型の宇宙探査機 「UNITEC-1」の開発プロジェクト』に参加しました。
超小型の宇宙探査機「UNITEC-1」は、世界ではじめての学生が開発した深宇宙探査機で、JAXAの金星探査機PLANET-C(あかつき)と一緒にH-IIA ロケットで金星に向かう軌道に投入されました。
国内約20の大学と高等専門学校が協力して開発した「UNITEC-1」は、およそ35cmの立方体で、重さは約25kgと小さなものです。
- ※1大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)
- 大学・高等専門学校の学生による手づくり衛星やロケットなどの実践的な宇宙工学活動を支援することを目的とするNPOです。
- ※2深宇宙
- 地球の重力をほぼ無視できる宇宙のことです。
激しい振動や衝撃、宇宙空間の過酷な温度変化からコンピュータなどを絶対的に守る熱構造系の開発
「UNITEC-1」のなかには、大学が開発したコンピュータや太陽電池、通信機、宇宙放射線測定装置、小型カメラなどが搭載されています。
AUTでは、ロケット打ち上げ時の激しい振動や衝撃、宇宙空間の過酷な温度変化からコンピュータなどを絶対的に守る熱構造系(衛星の外面と内面を形成する構造パネル)
と方向をコントロールする棒状の部品「ガイドポール」の開発を担当しました。
プロジェクトのコンセプトは、「低コスト」。そして「短納期」
今回のプロジェクトのコンセプトは、「低コスト」と「短納期」。いかに経費をかけずに性能を高められるかが求められているのです。
通常の人工衛星は5年程度の年月をかけて熱構造設計の妥当性確認用衛星(STM)、技術確認用衛星(EM)、そして実際に宇宙に行くフライトモデル(FM)の3つを設計開発するのですが、私たちはたった1年でこれらを開発しました。
STMやEMを用いて度重なる厳しい試験を何度も行い、「UNITEC-1」のFMはH-IIAロケットの打上げ時の振動や衝撃からコンピュータや通信機器を守ることができました。
宇宙への打ち上げ成功のために、奥山研究室の全員が一致団結して取組みました。
深宇宙探査機「UNITEC-1」打ち上げ成功!
2010年5月21日、種子島宇宙センターから、JAXAの金星探査機PLANET-C(あかつき)と一緒に「UNITEC-1」が宇宙へと打ち上げられました。
実際に打ち上げられた時の「感動の瞬間」映像があります。
深宇宙探査機「UNITEC-1」の開発を振返って


「UNITEC-1」の開発は、日本全国の学生たちとのチームプレー。搭載機器を担当する他大学の学生からは、 「サイズを変更した」「コネクタをつなぐ穴を空けてほしい」など注文のメールが毎日のように入り、メールをチェックするのが怖くなるほどの変更につぐ変更。 やっと完成させたエンジニアリングモデルを九州で振動試験にかけると不具合が発生。 急きょ大学に持ち帰って3日で図面を書きあげ、蒲郡製作所さんに頼み込んで1日で仕上げてもらった部品を持って、最終の新幹線に飛び乗ったこともありました。
120名を超す多くの市民、開発関係者や報道陣がいるなかで、打ち上げのカウントダウンが開始され、無事打ち上げが成功したときの大歓声は、何物にも変えられない感動がありました。
さらなる宇宙開発に挑む
将来の惑星探査を目指し、小型探査ロボットの研究も行っており、米国ネバダ州でロケット打上げ実験も予定しています。
この小型探査ロボットは、人の操縦を必要としないもので、ロボット自身が自分の現在地を把握し、自身のコンピュータで目的地に向かいながら火星や金星の表面を探査できるものです。
このロボットを火星や金星に送りこむための宇宙探査機の開発も行っています。
現在は、JAXAやDLR(ドイツ航空宇宙研究所)で宇宙探査機用の耐熱材料の加熱試験を繰り返しています。


