トピックス(交通機械の衝突安全性を高める基礎研究)
衝突安全工学とは?“適度に壊れて”わが身を守る!

研究概要
自動車や列車が衝突した時、乗っている人へのダメージを極力少なくするには、おおっている部材が「適度に」壊れてクッション代わりとなることが重要です。本研究室では、各種部材の強さや伸びやすさを最新の試験装置で測定し、“適度につぶれるための設計”を行うため基礎データの研究をしています。
これらの実験データを解析して、自動車の衝突解析や数値シミュレーションのための材料モデルの研究に役立てています。高速度で変形する材料の強度を調べるなど、学生がじかに試験装置に触れて生の材料特性を体験することができます。自動車をはじめとする産業機械の人への安全性に対する要望は、今後ますます重要になっていくでしょう。
自動車の衝突安全性を高めるための基礎研究
実際の自動車や列車の衝突時における構造部材が壊れるときの変形速度は、通常の材料試験機での変形速度よりもはるかに速い速度で壊れていきます。また、材料や構造部材の強さや変形挙動は、この変形速度の違いによって著しく異なる場合が少なくありません。このため低速から高速までの広いひずみ(変形)速度域での材料特性を把握することが、数値シミュレーション解析を精度良く求めるためにとても重要な要素となります。本研究室で使用する検力ブロック式高速材料試験機は、変形速度の幅が格段に広く、低速域から高ひずみ速度域までの動的な材料特性データを高精度で求めることが可能です。さらに自動車や列車等の衝突安全性向上を図るための基礎研究として、各種構造部材の動的強度・衝撃座屈試験が必要となります。このための試験を精度良く実施するために、加速式衝突座屈試験機を導入しました。この装置における構造部材の衝撃座屈試験結果と、上記の数値シミュレーション結果を結合させて、自動車や列車等の衝突安全性向上のための基礎解析データを精度良く得ることが可能です。
また、本学工学部機械システム工学科には,わが国で唯一の一級小型自動車整備士養成課程を有しています。自動車の整備及び安全性についての長年の研究実績があります。これらの実績を活かしながら、ものづくりのための数値シミュレーション技術をさらに向上させるとともに,自動車や列車等の衝突安全性向上に関する研究拠点の一つとなることをめざしています。
変形速度を変化させた場合の応力‐ひずみの関係の一例(アルミニウム材3003系)

長方形断面の数値シミュレーションによる破断直前の応力分布図

検力ブロック式高速材料試験機
自動車材料や各種機械材料の強さや伸縮性をさまざまな速度で試験できる最新の試験機です。通常の材料試験磯のように材料をゆっくりと変形させるときの性質だけでなく、機械加工時などの中程度の速度での変形や、さらに自動車の衝突時のような高速度で変形するときの材料の動的強度まで、幅広い速度域での強さや伸びやすさを高精度で試験できます。
加速式衝撃試験機
自動車の衝突安全性を高めるための重要な対策の一つは、例えば乗用車の衝突時において前部のエンジンルームが適度につぶれるようにし、人が乗っているキャビンのダメージを最小限に抑えて、人体への大きな衝撃が伝わらないようにすることが最重要となります。この試験装置では自動車部材などが高速度で圧縮されてつぶれるときの様子を調べる“衝撃座屈試験”や自動車材料や各種機械材料が高速度で変形するときに対応した“高速圧縮試験”ができます。
構造系CAE への取り組み
製造業において「より高品質の製品をより安く作る」という目的を達成するためには、常に多くの技術的な課題が存在しています。このような課題を克服する手段の一つとしてCAE(Computer Aided Engineering)の重要性が高まっています。機械システム工学科では、世界中で広く用いられているエンジニアリング系解析ソフトLS-DYNAを使用して、有限要素法による数値シミュレーションを行います。実 車で衝突実験を行う場合の膨大な経費・労力、データ処理の時間が、数値シミュレーションを行うことにより開発費も時間も大幅に抑えることが可能となります。

