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「K耐久東海シリーズ2018」AUTがW優勝、うち1チームは初の総合優勝

過酷で繊細な軽自動車耐久レース「頂への挑戦!!」

AUTがW優勝 うち1チームは初の総合優勝!

愛知県蒲郡市にある「スパ西浦モーターパーク」で行われる「K(軽自動車)耐久東海シリーズ2018」。今年度は、第3戦(9月23日)と第4戦(10月21日)にそれぞれ2台体制で参戦しました。シリーズ最終戦となる第4戦では「⑱アルトスペシャル(NCクラス*1)」がクラス優勝だけでなく、軽自動車全クラスを制す総合優勝! 「⑬DXLアルト1号(NN-Bクラス*2)」は初めて女子学生ドライバー2名を起用し、クラス優勝を飾りました。

*1 NCクラス……過給機を持たない車両で本格的なレギュレーションのあるクラス
*2 NN-Bクラス……ほぼノーマルの車両を使うビギナークラス

レース参戦の歴史

「K耐久東海シリーズ」は、AUTの地元・蒲郡市にあるサーキット「スパ西浦モーターパーク(全長1.561km)」で開催されるレース。2018年は全4戦が開催され、改造された軽自動車で3時間を走り抜きます。レースごとにポイントが付与され、各チームはシリーズ優勝を目指して戦います。
自動車整備の実践の場として、またレースを通じたチームワークやコミュニケーションの醸成を目的に、「K耐久」サークルは2013年からレースに参加。翌年の2014年にはKNCクラス(*3)でクラス優勝を飾り、2015年にもKNNクラス(*4)で優勝。そして、2016年の第5戦においてNCクラスとNN-BクラスのW優勝という快挙を果たしました。

*3 KNCクラス……NCクラスと同等
*4 KNNクラス……NN-Bクラスと同等

参戦マシン

カーナンバー⑱アルトスペシャル(NCクラス)
メーカー:SUZUKI
車種:アルト

カーナンバー⑬DXLアルト1号(NN-Bクラス)
メーカー:SUZUKI
車種:アルト

⑱アルトスペシャルのメンバー

⑬DXLアルト1号のメンバー

初の女性ドライバーを2名起用!

「⑱アルトスペシャル」のドライバーは、幼いころからカートで腕を磨いている谷田貝さん(4年)とサーキットで走り込んでいる小野さん(3年)の2人。「⑬ DXLアルト1号」は、柴岡さん(3年)と小田さん(3年)。そして、AUT初の女性ドライバーとして、阿多さん(4年)と前川さん(4年)の4人がドライバーを担当することになりました。
なかでも前川さんは、このレースに出たいという想いが募り、マイカーをオートマチック車からマニュアル車に乗り換え、シフトチェンジを練習したのだとか。
レース前には「スパ西浦モーターパーク」で実戦を想定した練習を繰り返しました。1度の練習は、50分走行の枠が2回。レース前までに5度の練習をこなし、クルマのセッティングを詰めていきました。ドライバーはデータロガー(*5)やGo Pro(*6)を使い、区間タイムやライン取りなどを分析。規模は違うものの、F1やスーパーGTで行っている練習と同等の手法を取り入れてタイムを詰めていきました。

*5 データロガー……記録計
*6 Go Pro……ウェアラブルカメラ

【NCクラス第4戦】 昨年の反省を活かした結果、クラス優勝&総合優勝を獲得!

NCクラスに参戦する「⑱アルトスペシャル」の予選は、序盤からほかのクラスのクルマがコースアウトし、イエローフラッグ。これによってクルマ同士の間隔が詰まるなか、全体的に遅いペースではじまりました。予選のドライバーである谷田貝さんは「走りにくかったんですが、タイムはクラストップ。総合でも4番手くらいにつけました」。「去年は勝てなかったので、今年は絶対にその雪辱を果たしたい」と思っていたそう。その熱意がタイムに現れたのかもしれません。

決勝のドライバーは小野さんから。ターボ車をコーナーで抜き、総合で3番手に上がります。「そこからはタイヤを温存する作戦です。いい状態で谷田貝くんに渡したかった」と小野さん。しかし、谷田貝さんにバトンタッチしてから、ちょっとしたアクシデントが。「10周くらいしたときでしょうか。NN-Eクラスのクルマと接触してしまったんです」。もしかしたらペナルティになるかもしれない。そんな不安な気持ちを抱えて、再び小野さんと交代。さらにタイヤ温存作戦を続行し、最高の状態で谷田貝さんに代わります。

「先生からは”総合優勝を狙えるぞ“、とハッパをかけられました」と苦笑いする谷田貝さん。もうペナルティのことなんか心配している場合ではありません。残り10分を切ったときに再びセーフティーカー。セーフティーカーはトップ車両の前に入るため、谷田貝さんは「これはいける」と思い、セーフティーカーが抜けた後は温存したタイヤを使い切りながらも、落ち着いてドライブ。その後、3周でチェッカーを受け、クラス優勝と総合優勝をWで獲得。ペナルティもなく、2位を3周も突き放しての完全優勝を手に入れました。

レースが終わり、小野さんは「前日は緊張でなかなか眠れなかったんですが、谷田貝くんの足を引っ張らないようにがんばりました。谷田貝くんはレースの2週間前くらいから、勝ちたい、勝ちたいっていっていたので、それをかなえることができました。何よりパワーのあるクラスの車に勝てたのが最高にうれしいですね」と総括。谷田貝さんは「去年もドライバーだったんですが、タイムが出ていればいいだろうとイケイケの走りをしていたし、走りを分析することもしなかった。でも今年は練習時の車載動画を何度も見直し、データもしっかり取りました。その成果が出たと思います」とコメント。
最高の結果を残すことができた2018年。この結果は、2人の記憶にいつまでも輝き続けるでしょう。

【NN-Bクラス第4戦】 タイムをそろえて走るチームワークが、優勝を引き寄せた!

男子学生2名、女子学生2名が乗る「⑬ DXLアルト1号」。NN-Bクラスは3台の争いとなりました。予選は小田さんが走り、タイムは2番手。上位グリッドを狙うと同時に10分間でしっかりとタイヤを温めます。
決勝のファーストドライバーも小田さん。「⑱アルトスペシャル」の作戦と同じく、無理をせず先行するクルマについていき、タイヤを温存。前川さんにバトンタッチしました。前川さんは「がんばって走ったけど、練習で出した自己ベストには届かず……。でも、楽しく走れました!」と笑顔で話してくれました。次は柴岡さん。「去年は走れなかったので、僕にとって初のレース。途中、3台横並びでコーナーに突っ込んだシーンがあって、そこはビビりました」とコメント。そして、最後のドライバーの阿多さんにチェンジ。阿多さんは前回のレースでコースアウトし、そのトラウマでなかなかアクセルを踏めなかったといいます。「いろいろな方からライン取りやドライビングのアドバイスをもらい、いい意味で開き直れました。トラウマは完全に克服できていないけど、スタートからの2位をキープしてフィニッシュできました」とホッとした表情。

2位でのチェッカーフラッグにチーム全員が喜びましたが、その後、まさかのサプライズが! 1位でチェッカーを受けた車両がアンダータイム規定(*7)により、2周減算。これにより「⑬ DXLアルト1号」に優勝が転がり込んできたのです。
阿多さんは「優勝は棚ぼたみたいなものですけど、これもみんなの努力が引き寄せた運かなと思います。4人全員、同じくらいのタイムで走れたし、何よりチームワークがいいんです。これはチームの勝利だし、W優勝できてもっとうれしいです!」と話してくれました。

*7 アンダータイム規定……NN-B(ビギナー)クラス参加チームの決勝でのラップタイムが、NN-E(エキスパート)クラス参加チームの決勝でのベストラップの2秒落ちよりも速いタイムを記録した場合、そのラップは周回数としてカウントされないという規定

わずか3時間でも多くの学びと気づきが

「K耐久東海シリーズ2018」は、W優勝だけでなく「⑱アルトスペシャル」が参戦史上初の総合優勝というこれ以上ない結果でシーズンを終えました。レースを通じ、学生たちは技術だけでなく、組織運営の難しさ、自分に勝つことの尊さ、そして、チームワークの大切さを学びました。この経験は社会人になっても、それぞれの職場で活かされるはずです。わずか3時間のレースであっても、学生たちは多くの学びや気づきを得たことでしょう。

メンバー

教員からの総括

今回のW優勝は、学生一人ひとりが自分のやるべきことをしっかりと認識し、お互いに協力し、助けあいながら取り組めた証だと思います。私もレースに出るからには、優勝を狙い、全力でサポートさせてもらいました。特に足回りは、個々のドライバーにあわせたセッティングを行い、それぞれがベストの力を発揮できるようにしています。
この2戦でメカニックの技術、ドライビングのスキルを吸収し、学生は大きく成長できたと思います。社会人になっても、この経験を活かし各自の個性を伸ばしていってほしいですね。

写真:機械システム工学科 1級自動車整備士養成課程 中嶋 靖 助教