機械システム工学科 林寛幸

JRの確かな(?)愉しみ方:第三弾 蒲郡駅を起点とした「青春18きっぷ」の旅の2

機械システム工学科 講師 林寛幸/HAYASHI Hiroyuki

JRの確かな(?)愉しみ方 第三弾 蒲郡駅を起点とした「青春18きっぷ」の旅の2

今回は、壮大な「青春18きっぷ」周回の旅です。

2008年3月15日にJRグループはダイヤ改正を行いました。以下に示してある時刻表のデータは改正後の3月号の時刻表の平日ダイヤから取ったものです。
さて今回の旅は、青春18きっぷを利用して、蒲郡を起点としてぐるりと回って元へ戻ってくる周回コースの旅を紹介します。蒲郡駅は、東海道本線上にあるので、最初と最後に乗車するのは東海道本線となります。

上に、蒲郡駅からの周回コース早見表を掲げました。 脊椎動物の背骨のように東海道本線がまっすぐに走っています。蒲郡がその中心に位置するように描いてあり、西は姫路まで、東は東京まで延びています。その間の大阪、京都、草津、米原、岐阜、名古屋、豊橋、富士の駅において各線への接続が可能です。私の個人的な楽しみとしては、「東京」と「直江津」を経由した場合果たして戻ってこれるのか?というのが最大の関心事です。東京は、行きも帰りも同じ経路なら多分戻ってこられると思いますが、異なった線を経由して蒲郡までたどり着くことができるのか?また、直江津といえば新潟県です。こんなに遠くまで行って1日中に帰宅できるのか? これらの素朴な疑問に応えていきたいと思います。 早見表は、あくまでも概略な図なので、駅間の距離は反映されていません。たとえば、豊橋―岡谷間の飯田線や富士―甲府間の身延線などはこの中に数え切れないほどの駅がひしめいています。乗車する線によっては、相当な時間と労力と我慢が必要であることを覚悟して下さい。

まずは、蒲郡駅から東海道本線に乗って、西・東へ

「蒲郡から西へ」に下り大阪方面の最も早朝の列車の時刻を示しました。
ここで、「ムーンライトながら」が登場します。この電車は、「日本一人気の夜行列車」と言われるほど人気があり、青春18きっぷとは深いつながりがあります。夏のシーズンは指定席券を入手することさえ難しいと言われています。全行程の大垣―東京間において、上りは全区間、指定席券が必要です。しかしながら、下りの豊橋から大垣間までは全席自由席になるので18きっぷだけで乗車することができます。今回の紹介は、青春18きっぷ1枚で行くことの出来るものばかりを紹介しますので、別途指定席券が必要な「ムーンライトながら」の利用は差し控えました。
西へ向かった場合、朝一番の電車は「ムーンライトながら」です。蒲郡から終着駅の大垣までは全席自由席ですので青春18きっぷ1枚で乗車できて便利ですが、朝が少々早すぎるかもしれません。しかし、大垣から加古川行きの電車への乗り継ぎがスムーズなので、京都、大阪、神戸方面への旅は非常に好都合です。大垣-米原は結構、乗り継ぎが不便な場合が多いので注意してください。普通?に起きて、蒲郡発7時27分くらいに乗っても、昼前には神戸に行く着くことができます。
帰りは、大阪発18時に乗れば、蒲郡着21時22分で、翌朝疲れを残さない程度で帰ってくることができます。
「蒲郡から東へ」に上り東京方面の最も早朝の列車の時刻を示しました。熱海まで4時間、東京まで5時間半ほどで行けます。もう少し早く行けそうなのですが、快速の本数もそれほどでもなく鈍行列車が多いようです。帰りは、東京を16時半ごろ出れば、22時までには蒲郡まで戻ってこれます。ビジネス用途で利用する場合、東京や大阪方面へは時間短縮が図れ、列車本数も豊富な東海道新幹線の利用が一般的ですが、鈍行の列車にも鈍行の良さがあり、日本の四季のうつろいを感じつつの車中からの眺めや、乗り合わせる地元の人たちのお国訛りからも、それはそれとして趣深さを感じることが出来ると思います。

蒲郡駅発の周回コースの旅

蒲郡駅を出発して、午前0時を回る前にまた蒲郡へ戻ってくるという旅です。楽しい旅というより多少我慢を伴うかもしれません。ずっと座りっぱなしでお尻が痛くなったり・・・。
周回コースというと普通は一度通った駅は二度と通らないのが原則ですが、蒲郡駅は東海道本線の途中の駅なので、必ずしもこのルールにはこだわっていません。
コースは、大きく3つに分けました。「まずは、小手調べコース」、「いきなりチャレンジコース」、「やっぱり限界コース」です。まずは・・・は比較的近郊地域、いきなり・・・は北東方面、やっぱり・・・は南西方面のコース設定です。

まずは、小手調べコース

コース1 : 蒲郡→名古屋→岐阜→美濃太田→多治見→名古屋→蒲郡
コース2 : 蒲郡→名古屋→米原→草津→柘植→亀山→名古屋→蒲郡
コース3 : 蒲郡→名古屋→米原→京都→近江塩津(敦賀)→米原→名古屋→蒲郡

いきなりチャレンジコース

コース4 : 蒲郡→豊橋→東京→甲府→岡谷→塩尻→名古屋→蒲郡
コース5 : 蒲郡→豊橋→岡谷→甲府→富士→豊橋→蒲郡
コース6 : 蒲郡→名古屋→塩尻→長野→直江津→富山→金沢→米原→名古屋→蒲郡
コース7 : 蒲郡→岐阜→高山→富山→金沢→米原→名古屋→蒲郡

やっぱり限界コース?!

コース8 : 蒲郡→米原→京都→姫路→福知山→敦賀→米原→名古屋→蒲郡
コース9 : 蒲郡→米原→大阪→和歌山→串本→亀山→名古屋→蒲郡

以上のうち、コース1、3、4,5,6,8について紹介します。今回紹介できなかったコースや自分でオリジナルで考えたコースがあれば、時刻表を見て自分で作成して楽しんでみてください。

まずは、小手調べコース

コース1

コース1は、蒲郡から最も短時間で1周して戻ってこられるルートです。美濃太田-多治見間の太多線を通るルートで、東海道本線、高山本線、太多線、中央西線の4つの路線をまたぎます。乗車時間も3時間半と手頃な旅です。多治見などで下車しても面白いと思います。古い町並みの中を歩くと時代を錯覚するところまではいきませんが、昔出会った懐かしい風景に出くわすかもしれません。

コース3

コース3は、琵琶湖の周りを1周する旅です。琵琶湖の西側を沿って走る湖西線を利用するため、その起点駅となる京都駅まで足を伸ばします。乗車時間も6時間を超えますが、途中下車しても十分帰ってこられる距離なので、日本一大きな湖の琵琶湖の雄大さを満喫することが出来ると思います。

いきなりチャレンジコース

コース4

コース4は、東京行きの旅です。戻ってこられるかと懸念しましたが、幸運にも周回できました。東京駅にはちょうどお昼に着きます。それから中央線で塩尻まで、さらにそこから中央西線で名古屋まで長旅です。行程も760km、実乗車時間も13時間半とかなりキツイかもしれません。東京と塩尻で、45分、90分程度の自由時間?があります。蒲郡から東京までのコースを数字に上では達成できましたが、では実際にチャレンジできるかとなると躊躇する部分があると思います。やはり若い人で体力があり、何より列車に乗ることに興味を持っている人でないと無理かもしれません。

コース5

コース5は、飯田線と身延線を踏破する設定です。先のコース4の行程よりも200kmも少ない距離ですが、駅の数が多く時間は同じほどかかります。表に掲げた時刻表では、身延線も飯田線も幸運にも乗り継ぎがなかったため効率よく蒲郡までたどり着きました。このコースは全線にわたり鈍行の旅です。

いきなりチャレンジコース どっこい限界コース?!

コース6

コース6は、最も行程距離が長い超疲労コース設定です。新潟県の直江津まで行くだけでも結構大変です。名古屋から中央西線と篠ノ井線と信越本線とを乗り継いでようやく直江津に到着します。復路は、北陸本線で米原まで一気に南下します。と言っても、直通の列車はありませんので、乗り継ぎをこなしながらの旅になります。
このコースは残念ながら、蒲郡までたどり着くことが出来ませんでした。時刻が次の日にまたがってしまいましたが、岡崎駅までは到着できました。裏話になりますが、米原駅へあと5分早く電車が到着していれば、完璧な結末を迎えることが出来ました?!
大垣発22時45分の区間快速電車に乗ることが出来たならば・・・。その電車は、三河塩津へ23時58分到着。蒲郡へは翌日の0時1分着です。青春18きっぷの有効期限はその日の24時までですが、列車が動いていて次の日にまたがって運転している場合は、日付が変わって最初に停車する駅までが有効となります。まさに蒲郡駅がその最初に停車する駅だったのです。ざぁ~んねん!

コース8

コース8は西方面へのコース設定です。姫路までは東海道本線なので比較的時間と距離をかせぐことが出来ます。そこから福知山まで北上した後、日本海沿いに小浜線で舞鶴、敦賀まで足を伸ばします。全行程734km、実乗車時間12時間の旅です。

旅の楽しみ

旅とは必ずしも目的地へ行って楽しむことを言うのではなく、その行程なり計画なりを自身で思い巡らすことも旅の一部であることを感じます。今回の各コース設定は、私の独断でやりましたが、それだけでも十分楽しさを感じました。上に述べたコース6の直江津から復路でうまくいかなかった時は、何度も時刻表をひっくり返して数字と格闘しました。直江津も訪れたことないし、信越本線も一度も乗車したことがありませんが、旅は堪能しました。これが実感です。次回も、乞うご期待!