未来材料科学研究所

地球規模の課題を新素材で解決する

未来材料科学研究所は、愛知工科大学近藤敏彰准教授を所長に迎え、2021年4月に新設されました。金属や半導体などの素材は、その大きさをマイクロメートルからナノメートルスケールまで微細化すると、微細化前にはなかった特性を示します。大きさを変えることによって性質が変わるこの特性を活かし、まだ世の中にない新たな素材の研究・開発に取り組みます。

また、異なる素材を組み合わせる複合材料の分野からも、有用な新素材の開発に挑戦。たとえば軽くて強度が高い素材ができたら、航空機などを軽量化でき、燃料消費量やCO2排出量の削減にもつながります。

温暖化や化石燃料の枯渇といった地球規模の課題を、目に見えない小さな素材で解決する。そんな壮大なモチベーションがこの研究所の原動力です。

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サイズは小さく、有用性は高く

ナノメートルスケールまで微細化された物質は、試験的に少量を作ることができても、量産しようとするとなかなかうまくいかないものです。この研究所では、量産技術の確立につなげることにも取り組んでいきます。特に、化学と電気化学に基礎をおく新たな手法の開発を目指します。化学的、電気化学的な手法によれば、形状が精密に制御された微細構造体を効率的に作れると期待できます。

同研究所で主に扱う素材は、ナノメートルスケールに微細化すると、赤や緑に色づいたり、化学反応を助ける触媒としての機能が出てくるものなど様々です。それらの特性を利用することで、太陽光発電や水素生成の高効率化、さらに高性能なエネルギー変換デバイスや航空宇宙材料の開発が可能になると期待できます。

得られた成果は、論文として公表するだけでなく特許化も行い、企業との共同研究を通して社会へ還元していきます。

研究者間にも化学反応を

同研究所には、電気化学や材料科学など専門の異なる研究者が集結。分野横断的な研究を進めることで研究者間にも化学反応が起こり、今までとは違った発想が生まれることも期待されます。

設備面では、新素材の開発に不可欠な各種実験装置、薄膜製造装置、ナノインプリント装置、パルスレーザーシステムなどを保有。化学的・電気化学的な実験を安全に実施でき、得られた素材の特性を解析するための評価装置やシミュレーション環境も整備されています。

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期待されるナノ研究

金ナノドットアレイのSEM像

ナノメートルスケールの直径を有する金ナノ構造体の規則配列構造の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示しています。均一な直径の金ナノドットが広い領域にわたり規則配列している様子が観察できます。このような構造体は、主に、電気化学的な方法にもとづき形成することが可能であり、高感度化学センサーや太陽電池への応用が期待されています。
(参考:近藤敏彰,柳下 崇,益田秀樹,『CSJカントレビュー プラズモンと光圧が導くナノ物質』,化学同人(2019))

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アルミナノワイヤーのSEM像

ナノメートルスケールの直径を有するアルミニウムナノワイヤーのSEM写真を示しています。電気化学的な方法によって作製されたポーラスアルミナと呼ばれるナノポーラス材料をテンプレートとした機械的な変形プロセスにより形成されました。この構造体は、化学電池などへの応用が期待されます。
(参考:T. Kondo, N. Kitagishi, T. Fukushima, T. Yanagishita, H. Masuda, Material Express, 6, 363 (2016))

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Liナノホールアレイ

ナノ細孔の規則配列を有するリチウムナノホールアレイのSEM写真を示しています。この構造体は、主に、めっきと呼ばれる電気化学的な方法にもとづき作製することができます。この構造体の作製方法は、次世代電池の一つであるリチウム金属電池の作製に応用が期待されます。(参考:T. Kondo, M. Yoshida, T. Yanagishita, H. Masuda, Journal of The Electrochemical Society, 168, 032508 (2021))

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未来材料科学研究所所長

近藤 敏彰 准教授(機械システム工学科)

 

研究分野

電気化学/材料化学/応用光学

 

経歴

2020年4月 – 現在静岡大学 客員准教授
2019年4月 – 現在愛知工科大学 工学部 機械システム工学科 准教授
2019年4月 – 2021年3月東京都立大学 客員准教授
2017年4月 – 2019年3月帝京大学 (非常勤講師)
2015年4月 – 2019年3月首都大学東京 都市環境学部 環境応用化学科 助教
2013年4月 – 2015年3月首都大学東京 都市環境学部 特任助教
2008年4月 – 2013年3月神奈川科学技術アカデミー 研究員
2005年4月 – 2008年3月日本学術振興会 特別研究員(PD)

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