大学院

授業科目

博士前期課程では、工学の各分野についてより専門性の高い知識を、博士後期課程では専門分野の教員からの個別授業、論文の執筆・発表方法などを学びます。

博士前期課程

精密加工学特論

世の中の加工精度への要求がマイクロメータオーダーからナノメータオーダの加工精度へと変わってきている。このためこれまであまり問題視されなかった表面付着物や表面近傍の原子構造のひずみなどが問題視されるようになってくると共に精密な計測システムの開発も必要となってきている。以上のような事柄を背景にここではナノメータ加工方法にどのような方法があるかについて紹介していく。

材料力学特論

材料力学は、機械技術者にとって種々の機械や構造物の強度設計において重要で有用な科目である。本講義では、機械構造物の強度について説明する。はじめに、材料の機械的性質と応力集中について述べる。その後、応力とひずみの概念から始めて弾性応力解析や種々の荷重を受ける構造物の強度設計について説明する。

機械力学特論

機械には様々な振動が発生し、性能の低下や振動騒音などの環境問題を引き起こす。この振動を調べ対策を講じるには、多自由度系や連続体に発生する振動モードの理解が必要であり、それを統一的に扱う振動モード解析の知識が不可欠である。本特論では、まず、モード解析の実例を示して具体的なイメージをつかんだ後、多自由度系の運動方程式を行列形式で表して固有値問題を解き、固有値、固有ベクトルと固有振動数、固有振動モードの関連を示す。さらに、多自由度系に発生する自由振動、強制振動について解説する。また、弦や梁などの連続体の挙動を支配する偏微分方程式を解いて固有振動数、固有振動モードを求め、多自由度系との類似性を解説する。

熱流体工学特論

空気や水の流れ及び熱の移動は密接に関連している。流体は流れにより熱を移動させるが、熱移動はまた、流れを誘起する。また、乱流や層流等の流れの性質により伝熱現象は大きく異なる。そこで、熱流体工学特論では、流体力学及び伝熱学の基礎及び応用分野に関する講義を行い、熱、流体に関する知見を深める。 流体力学では、流体塊の変形や回転を表す式および循環と渦度の物理的意味を知ったうえで、粘性流体の運動方程式であるナヴィエ・ストークスの式(NS 式)を導出し、層流の場合についてNS 式の解法を学ぶ。乱流理論の基礎を理解し、固体壁の影響を強く受ける乱流(壁乱流)について、速度分布や乱流摩擦抗力などについて考察する。 伝熱学では、流れがない場合の熱伝導方程式とその解法について学び。次いで、流れがある場合のエネルギー方程式を導出する。伝熱現象は、日常生活や産業活動、エネルギー生産と密接に関連するが、ここでは、最も基本的な平板に沿う流れによる熱伝達、管内流の熱伝達、自然対流熱伝達及び沸騰や融解・凝固を伴う相変化現象について学習する。

メカトロニクス・ロボティクス特論

メカトロニクスやロボティクスのベースである機械機構要素や電子制御要素を習得していることを前提にメカトロニクスならびにロボット技術の応用面を幅広く学ぶ。この講義では、電子機械システムにおけるセンサなどの検出器とアクチュエータなどの駆動器などの要素技術、メカトロニクスを用いたモジュール機構と構造、メカトロニクスを応用したロボット制御技術、コンピュータやマイコンによる制御技術、カメラ画像による画像処理・認識技術、応用的なロボット技術についての専門技術を学習したのち、コンピュータやマイコンを用いた自動制御についても実習を合わせて行う。これから機械・電気系の技術者・専門家を目指す人にとって、この講義でメカトロニクス全般の要素技術とコンピュータによるロボット制御技術の取り扱いに親しんでおくことは非常に重要である。

制御工学特論

自動車は、CO2低減、安全性向上のために、システムがより複雑になっていくことは必至である。この複雑なシステムに対応するには、多入力多出力制御が必須となる。そのため、現在多くのメーカが製品に適用している古典制御を現代制御、ロバスト制御へ改めていく必要がある。 この背景を踏まえ、本講義では、下記特徴をもって進める。

  • 古典からロバスト制御までを広く扱う。そのため、すべて制御理論を“極配置法”という共通の設計法で講義する。
  • 狙いは、理解するだけでなく、使えるようになることである。そのため、受講者自身のMATLABを用いたシミュレーション演習を中心として進める。

センサ工学特論

センサとセンサーシステムについて、ロボットでの実例に触れながら、広く理解を進める。センサとしての構成、動作の特徴を解説するとともに、センサの系統的な理解を得ることを目標とする。実際に使用されている機器を取り上げ、センサの実用例についても広く解説をする。

光通信工学特論

光通信方式は、海底通信を含む長距離の幹線通信で広く用いられており、インターネットを含む現在の大容量伝送に欠かせない技術となっている。最近では、加入者系、コンピュータネットワークなど、近距離の通信にも導入されつつある。また、装置内のボード間配線や、短距離空間通信などにも導入されており、さらにボード内、あるいはチップ間などにも導入が検討されている。この講義では、光信号の発生、検出など光通信に関する基礎的理解と、光信号の中継伝送など光通信における基本を学び、さらにその応用分野に関する知識を得て、光通信を用いる、あるいは設計するための基礎を学ぶ。

航空宇宙工学特論

宇宙機は微小重力、超高真空、大きな温度差、宇宙放射線といった過酷な環境下で故障することなく性能が発揮されるよう設計される。宇宙機は非常に多くの学問領域にまたがる総合システムである。このような宇宙機システムの開発にあたっては、制御工学、軌道工学、計測工学、 ロボット工学、 電子工学、情報工学、人工知能など多岐にわたる分野の知識が必要となる。本講義ではどのようなプロセスを経て宇宙機が設計、開発、運用されているのかを学ぶ。

パワーエレクトロニクス特論

21世紀は、石油の時代と言われた20世紀に対して電気の時代である。現在の21世紀初頭において、電気自動車、スマートグリッド、自然エネルギー発電などが、CO2 削減の切り札として期待を寄せられている。この期待を支える主要技術がパワーエレクトロニクスである。本講義では、パワーエレクトロニクスの最新動向と、その基盤技術となるパワー半導体デバイス、整流回路、電圧変換方式、電動機の制御方法などについて学ぶ。

現代電池特論

モバイル機器の急速な普及や電気自動車などの技術発展に伴って、電池が担う役割は大きくなっている。しかしその要求される性能は日々高まっており、従来の電池技術では対応できない状況にある。これらの大きな期待に応えていくためには、新たな電池の展開が早急に求められている。そこで本特論では現代に求められる電池として、現在盛んに研究が進められている電池の原理と技術解説を通じて最新の電池技術を学び、更には現状の課題と将来への展望についても議論を深めていく。

コンピュータネットワーク特論

インターネット、LANによってコンピュータネットワークはこの10年急速に発展してきている。ハード、ソフト両面のIT技術によって支えられているこれらのネットワーク技術は、ブロードバンド・高速伝送、高速ルータによってさらに展開されている。これら技術の基礎・応用について論じる。

通信システム特論

目覚しく進化し続ける情報通信サービス、その中でも無線通信を主体としたシステムの仕組みとそれらのコア技術について論じる。コア技術としてアンテナ、電波伝搬、無線データ伝送技術などを取り上げる。実社会での情報通信システムとして、各種移動通信、衛星通信、インターネットアクセス、工場や家庭における無線LAN、近距離通信(駅改札や食堂など)などを取り上げ解説する。

メディアデザイン特論

メディアとしてのWebの基礎的技術と、ビジネスにおける応用方法について講じる。内容は基礎として、Webデザイン(HTML、XML、CSS、FLASH)、Webサイト構築(Webサーバ、サーバサイドWebプログラミング)について、応用としては、オンラインショッピング、CGM、アフィリエイトやリスティング広告などを取り上げる。また動画共有やSNSを利用した、商品プロモーションやマーケティングの有効性についても検討する。

音声・音響情報処理

現代的な音声認識技術を、講義だけでなく、一部、実習を交えて学ぶ。音声分析の基本から、音声認識の中核的な技術である隠れマルコフモデル(hidden Markov model, HMM)、および統計的言語モデルについて学ぶ。特に、HMM や統計的言語モデルであるN グラムモデルなどは、音声認識以外の分野でも現在よく応用されており、情報科学分野での基本的な技術として習得する必要がある。さらに、音声認識を利用した音声対話システムでの要素技術、あるいは実際の応用について学ぶ。

データ工学特論

データ交換やデータの保管に用いられる代表的な電子データの形式として、旧来のCSV(Comma Separated values)形式と新しいXML(eXtensible Markup Language)形式とがある。XML 形式はW3C(World Wide Web Consortium)で1998 年に標準化され、柔軟で拡張性が高いフォーマットとして、近年、様々なところに使われている。本講義では、XML技術の概要について学ぶ。データフォーマットをXML でどう定義するか、データを指定した形式でどう表示するか、どうデータ処理を行うか、といったXML の基本を習得する。

情報システム特論

目覚しく進化し続ける情報通信サービス、その中でも無線通信を主体としたシステムの仕組みとそれらのコア技術について論じる。コア技術としてアンテナ、電波伝搬、無線データ伝送技術などを取り上げる。実社会での情報通信システムとして、各種移動通信、衛星通信、インターネットアクセス、工場や家庭における無線LAN、近距離通信(駅改札や食堂など)などを取り上げ解説する。

自動車工学特論

大気環境の保全や地球温暖化の防止が急務となる中で、我々の生活に欠かせない自動車に求められる高効率・低公害エンジン(直噴ガソリンエンジン、高過給ディーゼルエンジン等)や省エネルギーを目指したハイブリッド自動車技術などを概説すると共に、今後の課題に対応するための次世代技術とそれを支える基盤技術について理解を深める。

環境システム特論(必修)

科学技術の発展と生産活動の拡大により、人類は物質的な豊かさを手にする一方で、環境に対して大きな負荷をかけてきた。このため環境問題を引き起こし、生存基盤が破壊されようとしている。将来世代にわたる持続可能な発展のために、環境保全の技術とシステムが重要な役割を果たしている。講義では、我々の生活および産業活動を支える水に焦点を当て、国際的に深刻化する水資源確保の問題や水質汚濁の現状を総括的に解説した後、我が国が保有する極めて高度な水処理の技術・システム,さらに水の効率的な再利用方法について学ぶ。

MOT技術論

システム開発、研究開発を進めるにあたり、技術管理や組織管理の在り方や方法論について説明する。技術者として取り組む際にどのような事に気をつけ、どのように進めていくか、その方法論を中心とする。新聞などでのビジネスに関する記事などを使ったり、また、これまでの経験を織り交ぜたりして進めていく。

科学技術政策特論

平成7年に科学技術基本法が制定され、我が国の科学技術振興政策に対する法的基盤が整えられた。平成8年には第1期科学技術基本計画が策定され、平成23年度から第4期の科学技術基本計画が始まる。日本の科学技術政策とこれからの方向性などを、国際的な観点からの相互比較や最新のトピックスなどを交えながら概説する。

システム工学特別演習I

機械、電気・電子、情報、環境のそれぞれの分野において、各指導教員の研究指導方針に従い、実験研究の基礎となる機器の使用方法、実験結果の解析方法等、また、研究室の他の研究の状況などとの関係調整のためのミーティング等、研究準備のためと、研究の相互関係について把握をさせる。

システム工学特別演習II

システム工学特別演習Iと基本的に同じであるが、その内容については、修士論文を書くための準備となる実験結果の整理方法など焦点を絞った討論及び準備勉強。

システム工学特別研究I

それぞれの分野において、研究テーマに従って研究を行い、その方法について討論を行い、研究の方向を定める。さらに、対外的に学会発表、論文発表などのための準備をする。参考論文の輪読なども行い、研究の世界的な位置づけを把握させる。

システム工学特別研究II

それぞれの分野において、研究テーマに従って、研究を行って得た結果について、討論を行い、研究の新規性について文献からの裏付け、さらに、対外的に学会発表、論文発表などのための論文の書き方等について学習する。

博士後期課程

機械システム特殊研究I

機械システムの課題を解決するために、指導教員のアドバイスの下で、専門分野関連の教員の下で、個別授業を受けて、各自の課題に関連し研究の基盤となる知識を身につける。学会講演会、及び関連する研究者の講演会に参加などの授業をも含む。

機械システム特殊研究II

博士論文に関わる論文、国際会議論文集等を自主的に学び、その結果をグループの院生・教員の前で発表する。この定期的に持つグループの集まりは、セミナー形式の場合と授業形式の場合とがあり、教員の都合と、学生の人数などから決められる。

電子情報システム特殊研究I

電子情報システムの課題を解決するために、指導教員のアドバイスの下で、専門分野関連の教員の下で、個別授業を受けて、各自の課題に関連し研究の基盤となる知識を身につける。学会講演会、及び関連する研究者の講演会に参加などの授業をも含む。

電子情報システム特殊研究II

関連する論文、国際会議論文集等を自主的に学び、その結果をグループの院生・教員の前で発表する。この定期的に持つグループの集まりは、セミナー形式の場合と授業形式の場合とがあり、教員の都合と、学生の人数などから決められる。

研究指導I(必修)

博士論文の課題の研究の方向、手法、課題の取り組みについて指導教員のもとで討論し、実験などの結果を検討し、研究の足がかりを確立する。

研究指導II(必修)

博士論文の研究の内容について、実験結果の解釈について指導教員と討論検討を重ね、公表論文としての執筆の指導を受ける。また、国内学会、国際会議等での発表のための指導を受ける。

研究指導III(必修)

博士論文として纏めるため、研究結果を検討し、執筆の方法、発表の方法等の指導を受け、博士課程修了のため、また、研究者として必要な様々な事柄の指導を受ける。