自動車工業学科 長谷川康和

洗車を楽しむ

自動車工業学科 助教 長谷川康和/HASEGAWA Yasukazu

洗車を楽しむ

私は洗車をするのが好きである。といおうか、正直、本当は面倒な面もあるのだが、性分からかやらずにはいられない。自宅の自分の部屋はなかなか片付かないのであるが、車が汚れているとどうも気になって仕方が無い。ということで、洗車暦約30年の経験と、本やネットから得た知識により私なりの洗車術を述べたいと思う。

私の場合洗車のための便利アイテムを使用する。まずは高圧洗浄機、これを使用することで、手で『ゴシゴシ』と擦って落とすより労力を省けるし、何より塗装を傷付けずに済むことが最大の利点である。高圧洗浄機が自宅にない場合は、有料洗車場に行って高圧洗浄すれば良いが、手早くサッサと済ませる必要がある。モタモタしていると全部洗いきらない内にたった数分の貴重な機械の作動時間とお金を使いきってしまうことになる。したがって、私が有料洗車場を利用する時は車体上部を洗わず、タイヤハウスなど泥や砂などが付着しやすい車体下部のみを洗浄する。時間がないお金がない他にもう1つ車体上部は洗わない理由がある。車体上部に水を掛けてしまうと特に夏季などは自宅に帰るまで乾いてしまう。その場で拭き取りまで全てを終えるのであれば問題はないが、如何せん有料洗車場では十分な水量の下で塗膜に傷を付けないよう汚れを落すことは困難である。したがってそのまま自宅へ帰ってから続きを行うことになる。しかし帰宅するまでに塗膜に付着した水滴が蒸発してしまうと、そこに残るのは鉄分などのミネラル類と塩素、つまり残留物のみである。この残留物が塗膜やガラスに一度付着するとなかなか取れないのである。以上の理由でなるべく車体上部塗膜面にはなるべく水がかからない様に車体下部のみに集中し洗浄する。
2つ目の準備品はバケツとタオル。これは洗車には欠かせない必需品であるが、ポイントはタオルである。洗車愛好諸氏はご存知かと思うが、いわゆる普通のパイル地タオルの使用は法度である。何故なら、普通のタオルは水の吸収は良いが表面の凸凹に砂埃などの汚れが付着し易く、その汚れによってまたタオルそのものの凸凹によって塗装面に傷を付けてしまうためである。分かり易く言い換えれば、サンドペーパでボディを擦っているのと同じ様なものである。そこで使用するのが、洗車専用の合成タオル。これを使用すれば傷を付けにくい。

以降の手順やポイント、注意事項

洗車は上から下に洗う方が効率が良いため、十分に水をかけながら屋根から順に合成タオルにて強く擦らず、撫でながら洗い流す。
カーシャンプーなどの洗剤は余程の汚れでない限り使用しない方が良い。塗膜の油分を奪ってしまい塗膜を劣化させることがあるため。
ワックス自体は塗膜の保護になるが、雨が上がってから出来る水滴(水玉)が太陽光によって蒸発すると塗膜にダメージを与えることがある。また、ワックスを塗ってから乾燥させるまでにホコリが乗ってしまうことがあり、それを布などで拭き取ると傷を付けることになるので、あまり頻繁に掛けない方がよい。
ホイールやタイヤなどの足回りも泥やブレーキダストなどでかなり汚れているので、先に十分に水洗いしておく。
拭き取りは、擦らず軽く叩くように水を吸い取る。
腐食を防ぐため、細かい隙間などに入った水も根気良く拭き取る。できれば圧縮エアを使用して隙間の水を吹き飛ばし乾燥させた方がより良い。
エアコン吹き出し口などの清掃しにくい箇所は、圧縮エアにて清掃すると良い。
ドア内側などの靴で擦った様な跡は、消毒用アルコールを染み込ませた布で拭くと汚れを落すことができる。
以上が洗車を上手く行なうための私が思う『コツ』である。

日常的に使用している車の内外が汚れていることはけして気分の良いものではないし、誰でもそれまで汚れていたものが綺麗になると嬉しいものであると思う。私の場合、洗車が終わると車全体を眺めながら、一人でニヤついている。それが楽しく嬉しいからである。
なお、車の塗装の解説やお手入れなどについては、私が管理する短期大学の自動車工業学科のホームページにも記載しているので参考にされたい。

追伸

洗車は好天時に行うことが多いが、特に夏季における日中の炎天下での洗車は、車にとっても人間にとっても悪影響があるため、気温が上がる前の早朝か直射日光が和らぐ夕方に行なった方が良い。また洗車が楽しい季節は同時に渇水期でもあるため、程々に。
なお、この文章は平成20年7月に蒲郡の広報誌である広報蒲郡に記載されたものを一部転用していますので、どこかで読んだような気がした方は相当記憶力が良い方です。