自動車工業学科 加藤寛

バイオ・ディーゼルECO走行/環境自動車実験

自動車工業学科 助教 加藤 寛/KATO Hiroshi

バイオ・ディーゼルECO走行/環境自動車実験

2009年12月ぐらいにアップされていると思いますが、バイオ・ディーゼルについての研究のその後についてお話したいと思います。
前回の話ではバイオ・ディーゼルの精製の内容でしたが、今回は実際の使用についてのお話です。

バイオ燃料を使ったスクールバス映像

前回の話の最後に画像を載せていましたが、本学自動車短期大学では、ディーゼル・エンジンの実習用始動エンジンがあり、学生は分解、構造研究、始動を行っていますが、その始動用エンジンにてバイオ・ディーゼル燃料を使ってみました。
特に問題なく始動しましたが、学生からは排気ガスの臭いが天ぷらを揚げたような匂いなので、おなかがすいてきたようでした。しかし、しっかりと環境の事についての関心を持つ学生もいて、自分が学生のころ(20数年前?)には全くそんなことは思わなかったので、さすが、いまどきの子供たちと感心しました。

実習用始動エンジンでの実験を行った結果、特に問題なく始動できたので、次のステップとして、実際に公道を走る車での使用を考えました。本学には、総排気量7.96リットル,全長9メートルの中型バス、日野メルファのスクール・バスがあり、毎日最寄りの駅からの送迎を行っています。今回はこちらのバスでの公道実験を行うこととしました。

最寄り駅までの走行でそんなに距離は走りませんが、それでもさすがにバスですから、燃費はリッター3キロメートルしか走らず、燃料消費量は多く、前回お話した小型の実験装置ではとても追いつかないので、大量に精製可能なプラントの導入を行いました。

プラントの導入により、精製能力が格段に向上したので精製することには問題が無くなったのですが、今度は廃油の確保に問題が起きてしまいました。廃食油の確保は、本学の学生食堂からの廃食油を使っていたのですが、廃棄量に対して使用量が上回り、足りない状況となりました。
そこで、産官学連携として、本学は「蒲郡産学官ネットワーク会議」の組織があり、協議を行い、蒲郡市の給食センターの協力を頂けることとなりました。

現在では需要と供給のバランスを保ちながら、公道走行を続けています。これによってディーゼル・エンジンの燃料である化石燃料の軽油の使用は無くなり、バイオ・ディーゼル燃料100%の走行を行うことで、試算ではありますが、年間にCO2の排出が約4トン削減することが出来る計算となります。

地球温暖化の原因となるCO2の削減としては、全体量からして微々たるものですが、少しでも地球温暖化防止となれば幸いです。これを最後まで読んでいただいた皆さんも、一人ひとりができることを行って、少しでも地球温暖化を止めましょう。